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マイオフィット(MyoFit®)とは?
マイオフィット(MyoFit®)は,マイオセラピーの目的である「背骨の間から出ている神経への圧迫などを取り除くこと」をコンセプトとし,それにヨガを応用した体操です.2002年に発足しました.
(スタジオ)
(ドッグポーズ)
MyoFit®は,Myo(筋)とFit(健康であること.元気であること.適合させる.コンディションが良好である)を合わせて造ったことばです.Fitの名詞形であるフィットネス(fitness)には,理想の状態に自分の心身を適合させる,近づけるという意味があります.つまり,マイオフィットは,筋の状態を良好に保つことで,それを制御する神経の機能を健全に守り,健康を保持・増進することであり,理想的な健康状態に近づけることです.
MyoFit®で応用されるヨガはアイアンガーヨガ(Iyengar yoga)です.ヨガとは,縛る,結ぶ,本人の注意を導き,集中し,使い,かつ応用する,という意味です.サンスクリット語ではユジュ(yuj)といいます.それは,われわれの心と神の心の結合.神の心を自分の心にすること,肉体と心と魂の全ての力を神に結合させること,知性と欲望と感情と意志の鍛錬を行うこと,人生をあらゆる角度から平等に観ることのできる魂の安定.それはまた,「完全な自由」をも意味し.苦しみと悲しみからの開放を意味すること,心と自我がコントロールされている時には,絶え間なく起きる欲望から開放され,心が安定して,神と結ばれた状態になることができること,とあります.
(ショルダースタンド)
(使用ツール)
私たちはこのアイアンガーヨガのポーズやそれを応用した動きを用いて,一個の固有筋ではなく,複数筋がつながっている筋連結を用いたストレッチや筋力増強により脊柱に付着する筋の伸長を促し,神経の健全な機能を保持・改善させます.また,各ポーズをとるのを助けるために,自助具(ツール)を用います.全コースにかかる時間は90分で.その内の約60分がエクササイズ(exercise)で,残りの約30分が休息(resting,meditation)となります.
MyoFit®の特徴は,参加者の痛い部分,筋力の弱い部分などを診て,その人に必要なポーズや避けた方がいいポーズを考慮し,あるポーズの達成を助けるツールを選択し,個人に合わせることができることです.バーベルなど道具による負荷をかけるエクササイズはせず,負荷は自分の体重のみです.ツールは特にストレッチング時に用い,その人のポーズを矯正したり,痛みを和らげたりするのを助けます.自分の体力,柔軟性に合わせて,他人と比較することなく,自分の身体を動かすことを楽しみながら健康を得ます.
MyoFit®の理論的背景
- マイオセラピー理論である,神経根障害(ラディキュロパシー)による廃用性超感受性(Disuse Supersensitivity;動かさないでおきる神経過敏)の予防として,椎間孔を開くために特に体幹の短背筋(多裂筋,回旋筋)をストレッチするようなポーズを用います.
- 筋連結を用いた全身筋のストレッチング.
- 固有筋のストレッチング.
- 筋収縮によるエネルギー消費.
- 瞑想,休息による自律神経作用の調整.
(エクササイズで十分全身を動かした後の休息により,リラックスして良好な副交感神経状態を作る. 副交感神経状態は動物の身体機能の0ゼロ点(出発点)) - ポリモーダル刺激による免疫力増強
筋の有痛性の収縮位,伸張位が機械的刺激となり,ポリモーダル受容器を作用させることで,鎮痛系を働かせ,痛みを軽減する.また,下行性疼痛抑制の中でも,オピオイド系が作用できるようにエクササイズ時間を60分にすることで,その後の休息の30分に鎮痛作用が機能し,より快適な状態で休息し,深い瞑想に入ることができる.
理論背景を読むとむつかしく感じますが,次のようなことを期待できます.
効果は,腰痛,肩コリなどの筋痛の軽減,急性再発(ぎっくり腰やムチ打ち症)の防止,疲労回復,体力回復,姿勢矯正,むくみの軽減,風邪などの感染症に対する抵抗力の増大,注意集張力の増加などです.注意を集中したエクササイズは,ストレスの多い現代社会の中で,見失いがちな自分を再発見し,取り戻すお手伝いをしてくれます.
(ウッティタ・パールシュワコーナ)
“The Yoga Place”
“辻井敬子のマイオフィット”
“敬子先生の暮らしのヒント(復刻版)”
“エッセイ「和の心」”